2026/02/11
腰痛と一言でいっても、その原因や背景はさまざまです。
今回はその中でも「筋筋膜性腰痛」について、少し専門的に“組織学”の視点からお話しします。
■ 筋筋膜性腰痛とは?
筋筋膜性腰痛とは、腰まわりの筋肉と筋膜のアンバランスによって起こる腰痛です。
特に重要なのが、
アウターマッスル(表層筋)とインナーマッスル(深層筋)の働きのバランスです。
本来、腰を支える筋肉はチームのように協力して働きます。しかし、どちらかが過剰に働き、どちらかがサボってしまうと、痛みが発生しやすくなります。
■ 腰のアウターマッスル(表層筋)
代表的なものは
・脊柱起立筋
・腰方形筋
・広背筋
これらは大きく強い筋肉で、身体を動かす力を生み出します。いわば「頑張り筋」です。
■ 腰のインナーマッスル(深層筋)
代表的なのが
・多裂筋(たれつきん)
多裂筋は背骨一つひとつを細かく支える重要な筋肉です。
姿勢を安定させる“縁の下の力持ち”のような存在です。
■ 正常な筋活動とは?
例えば前屈動作。
正常な状態では、
アウターマッスルとインナーマッスルが約50%ずつバランス良く働くことで、背骨を安定させながらスムーズに動くことができます。
このバランスが保たれていれば、痛みは出にくいのです。
■ 筋バランスが崩れるとどうなるか?
多裂筋の筋力低下や機能低下が起こると、インナーマッスルが十分に働かなくなります。
すると、
インナーがサボる
↓
アウターが代わりに過剰に働く
↓
アウター優位になる
↓
筋肉の緊張が高まり続ける
↓
腰痛発症
という流れになります。
アウターマッスルは本来「動かす筋肉」であり、「安定させ続ける筋肉」ではありません。
そのため、過剰に使われ続けると疲労が蓄積し、筋膜にもストレスがかかり、痛みへとつながります。
■ 姿勢との関係
正常な背骨には「生理的湾曲」と呼ばれる自然なカーブがあります。
このカーブが保たれていることで、多裂筋は効率よく働きます。
しかし、
・猫背
・長時間のデスクワーク
・反り腰
・運動不足
などにより生理的湾曲が崩れると、多裂筋の機能は低下します。
特に腰が丸くなった姿勢では、多裂筋がうまく収縮できず、アウター優位の状態が固定化してしまいます。
■ まとめ
筋筋膜性腰痛は、
「アウターが悪い」のではなく
「インナーが働けなくなっていること」
が本質的な問題です。
腰痛を改善するためには、
・頑張りすぎているアウターを整える
・サボっているインナー(多裂筋)を再教育する
・生理的湾曲を取り戻す姿勢づくり
これが重要になります。
腰痛には必ず“理由”があります。
その場しのぎではなく、組織レベルで何が起きているのかを理解することが、根本改善への第一歩です。
次回は、この筋バランスをどのように整えていくのかについてお話しします。