2026/02/24
組織学からわかりやすく解説〜
「椎間板ヘルニア」とは、背骨と背骨の間にあるクッション(椎間板)が飛び出し、神経を圧迫してしまう状態です。正式には 椎間板ヘルニア と呼ばれ、特に腰に起こるものを腰椎椎間板ヘルニアといいます。
■ 椎間板の構造(組織学的に)
椎間板は大きく2つの組織からできています。
・外側の硬い「線維輪(せんいりん)」
・内側のゼリー状の「髄核(ずいかく)」
例えるなら、あんパンのような構造です。
外側のパン生地が線維輪、中のあんこが髄核。
繰り返すストレスや加齢により線維輪に亀裂が入り、中の髄核が外へ飛び出す。これがヘルニアです。
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椎間板ヘルニアを発生させる腰椎のストレス
ヘルニアは「重い物を持った瞬間」だけで起きるわけではありません。
実際は、
・長時間の前かがみ姿勢
・猫背姿勢
・腰椎の後弯(本来の反りが失われた状態)
・胸椎や股関節の可動性低下
このような姿勢の積み重ねが、椎間板へ慢性的な圧縮ストレスを与えます。
特に「屈曲+回旋(ひねり)」の動きは椎間板に強い負担をかけます。
線維輪の後方は構造的に弱いため、後ろ側へ飛び出しやすいのが特徴です。
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神経根症状と馬尾症状の違い
ヘルニアによる神経症状には大きく2つあります。
① 神経根症状
神経の枝(神経根)が圧迫される状態です。
代表例は坐骨神経痛。
・お尻〜太もも〜ふくらはぎへの痛みやしびれ
・片側に出やすい
・咳やくしゃみで悪化
・特定の姿勢で強くなる
デルマトーム(神経の支配領域)に沿って症状が出ます。
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② 馬尾症状
背骨の中の神経の束(馬尾神経)が圧迫される状態。
これは緊急性が高いケースです。
・両脚のしびれ
・排尿・排便障害
・会陰部の感覚異常
このような症状がある場合は、すぐに医療機関受診が必要です。
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神経症状の出現の仕方
神経症状は「圧迫」だけでなく「炎症」も関係します。
飛び出した髄核は炎症物質を出します。
そのため、初期は
・激しい痛み
・動けないほどの症状
炎症が落ち着くと
・しびれ中心に変化
・慢性的な違和感へ移行
という経過をたどることがあります。
画像上ヘルニアがあっても症状がない人もいます。
つまり「出っ張り=痛み」ではありません。
神経への影響があるかどうかが重要です。
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ヘルニア判別のための評価(組織学視点)
まず大切なのは「どの組織が痛みを出しているか」を見極めること。
評価では、
● 姿勢分析
腰椎の弯曲、骨盤の傾き、胸椎の可動性
● 神経学的検査
・感覚検査
・筋力テスト
・反射検査
● 神経伸張テスト
SLRテスト(下肢伸展挙上)
神経の滑走性を確認します。
● 前屈・後屈での症状変化
屈曲で悪化するのか
伸展で悪化するのか
椎間板由来なのか
筋・筋膜由来なのか
関節由来なのか
組織学的に鑑別していきます。
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まとめ
椎間板ヘルニアは「突然起きるもの」ではなく、
日々の姿勢や動作の積み重ねで椎間板にストレスが加わり発生します。
大切なのは、
・どの組織が原因か
・神経症状は根性か馬尾か
・炎症期なのか慢性期なのか
これを正しく見極めること。
画像だけに頼らず、身体全体の評価が必要です。
次回は「機能学編」として、なぜ再発するのか、どう改善するのかを解説します。