2026/03/09
腰痛にはさまざまな種類がありますが、その中の一つに椎間関節性腰痛があります。これは背骨の後ろ側にある「椎間関節」に負担がかかることで起こる腰痛です。
椎間関節は腰を反らす動きや、体を捻る動きで強く圧迫されます。そのため、反り腰(過前湾)姿勢が強い人は椎間関節に負担が集中しやすく、慢性的な腰痛の原因になることがあります。
では、なぜ腰椎は過度に反ってしまうのでしょうか。多くの場合、腰だけの問題ではなく、全身の可動性低下や筋バランスの崩れが関係しています。
まず大きく関係するのが大腰筋や股関節屈筋群の過緊張です。
大腰筋は腰椎から股関節につく筋肉で、股関節を曲げる働きをします。この筋肉が硬くなると骨盤が前傾し、腰椎が過度に反りやすくなります。つまり、腰椎の過前湾(反り腰)を作りやすい状態になるのです。
さらに問題になるのが腰椎後湾の可動域・可動性の低下です。本来、腰椎は「反る」だけではなく「丸める」動き(後湾)も必要です。しかしこの動きが低下すると、腰椎は常に反った状態になり、椎間関節への負担が増えてしまいます。
また、腰の問題の多くは股関節の可動域低下とも深く関係しています。
特に
・股関節伸展可動域の低下
・股関節外転可動域の低下
があると、歩行や立位姿勢の中で股関節が十分に動かなくなります。その結果、股関節の代わりに腰椎で動きを代償するようになり、腰を反ることでバランスを取るようになります。
さらに、上半身では胸椎の可動域・可動性の低下も大きく関係します。
胸椎が硬くなると背中が丸まりやすくなりますが、人間の体は頭の位置を保とうとするため、背中の丸まりを補うように腰椎を過度に反らせてバランスを取ります。
下半身では足関節背屈可動域の低下も重要です。足首が硬いと、立つ・歩くといった動作の中で膝や股関節がうまく使えず、結果として腰を反る姿勢になりやすくなります。
このように
・大腰筋、股関節屈筋群の過緊張
・腰椎後湾可動域の低下
・股関節伸展、外転可動域の低下
・胸椎可動性の低下
・足関節背屈可動域の低下
といった要素が重なることで、体は反り腰・受け腰姿勢で立位バランスを取るようになります。そしてその状態が続くことで椎間関節に負担がかかり、椎間関節性腰痛が発生します。
そのため、痛い場所だけをマッサージしたり電気をかけるだけでは、根本的な改善にはつながりません。大切なのは、体の使い方と可動性を取り戻すことです。
当院では運動療法を通して、まず過剰に働いている筋肉を緩めます。特に大腰筋や股関節屈筋群などの**頑張りすぎている筋肉(過労筋)**を整えていきます。
そのうえで、
・腰椎後湾の動きを改善する運動
・股関節伸展制限を改善する運動
・股関節外転制限を改善する運動
などを段階的に行い、腰椎だけに頼らない体の使い方を取り戻していきます。
股関節がしっかり動き、胸椎が動き、足首が使えるようになると、自然と腰椎の過前湾は改善されていきます。すると椎間関節への負担も減り、腰痛の根本改善につながります。
長年腰痛が治らない方の多くは、腰だけを治療しているケースが少なくありません。しかし本当に大切なのは、腰痛を引き起こしている体全体の動きと姿勢の問題を改善することです。
椎間関節性腰痛でお悩みの方は、腰だけでなく体全体の可動性を見直し、正しい運動療法を行うことで改善できる可能性があります。慢性的な腰痛でお悩みの方は、ぜひ一度ご自身の体の状態を見直してみてください。